足立としゆき夢だより【第290号】をお届けします

皆さん、こんにちは。
足立としゆきです。

7月も後半となりましたが、全国的にすっきりしない梅雨空が続いています。皆さんいかがお過ごしでしょうか。

7月10日からの梅雨前線の活発化により、各地で大雨による浸水被害や土砂災害が発生し、7月12日未明には、松山市で松山城の北斜面が崩れ3名の方が亡くなるという痛ましい被害も発生しました。亡くなられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げます。
また、出水対応や土砂災害対応にご尽力された地域の建設関連産業の皆様の献身的な取組にも心から感謝とお礼を申し上げます。ありがとうございました。

さて、7月6日(金)から13日(土)まで、トルコのイスタンブールとUAE(アラブ首長国連邦)のドバイに、京都大学河川工学研究室の井上和也名誉教授や同級生の兪さん、藤田さんとともに、インフラの整備状況の視察に伺いました。

まず最初に、イスタンブールで大成建設が中心となって施工したヨーロッパとアジアを結ぶボスポラス海峡の海底鉄道トンネル「マルマライ」を視察しました。
この海底トンネルは、総延長13.6km(そのうち海峡下の延長1.4km) で、TBMによるトンネルと沈埋トンネルの組み合わせで施工したものです。海峡部では流速が早く、上層と下層では流向が異なる二層流となっているなど厳しい条件のもとで沈埋トンネルを施工しなければならず、日本の技術力が高く評価され施工することとなったものです。
特に、TBMの施工区間と沈埋部の接合部の施工には大変厳しいものがあったと聞きますが、マルマライに乗車させていただき、確実な施工が行われていることが確認できました。この鉄道は2013年8月に開通し、当時安倍晋三総理が開通式典に参加されました。これにより「イスタンブール150年の夢」が実現し、現在では多くの方々に利用されていることもよくわかりました。
マルマライの施工に当たっては、世界遺産のアヤソフィアやブルーモスク、トプカピ宮殿に近い旧市街地の中での施工でもあり、掘削土砂の搬出糖にも大変ご苦労されたと伺いました。また、施工中にはビザンチン時代等の遺跡が発掘され、それに対する対応の結果、2年程度、工程が遅れることとなったとのことでしたが、結果的には様々な貴重な遺跡の発掘につながったと聞きます。マルマライの各駅には、そうした状況を紹介するパネルがたくさん掲示されており、苦労された状況がつぶさにわかるとともに、そのような取り組みに対する現地の敬意というものも強く感じました。
なお、私自身、2009年3月に「第5回世界水フォーラム」でイスタンブールを訪れた際に、谷口技監の随行で施工中の沈埋トンネルの立坑を降りて施工状況を視察させていただいており、今回、記念の記名もさせていただいた上、完成したマルマライにも乗車することができ、とても感激いたしましたし、日本の技術力に大きな誇りを感じました。
現地では、大成建設で実際に施工に携わられた当時国際支店土木部長の今石さん、現在本社の土木営業本部の下村さんにご同行いただき、ご説明もいただきました。ありがとうございました。

一方、ボスポラス海峡のヨーロッパ側とアジア側を結ぶ道路ネットワークについても視察を行いました。
ボスボラス海峡は、黒海とマルマラ海を結ぶ約30kmの海峡で、現在、3つの橋がかかっています。
1つ目の橋が、以前はボスポラス大橋と呼ばれた1074mの「7月15日殉教者の橋」で、1973年に開通しています。
2つ目の橋が、1090mの「ファーティフ・スルタン、メフメット橋」で、日本のODAにより、IHI、三菱重工業、日本鋼管、伊藤忠商事が中心となって1988年に建設されました。全長は1,510メートルです。
3つ目の橋は、1400mの「ヤウズ・スルタン・スリム橋」で、韓国がBOTで施工したもので、両端が斜張橋で中央部が吊り橋という珍しい構造です。イスタンブール市内を迂回するルートとなっており、新たに開港したイスタンブール空港に直結しており、2016年に開通しました。
なお、これらに加え、マルマラ海のエーゲ海側のダーダネルス海峡にも2023年にチャナッカレ橋が開通し、アジアとヨーロッパを結ぶ橋は4橋となっています。
さらに、それらに加えイスタンブール市内には、「ユーラシアトンネル」という4車線の海底トンネルが、2016年にマルマライの南側1km付近に開通しています。この道路トンネルは、全長14.6キロメートル で、うちマルマラ海の海底部は3.4キロメートルです。韓国の企業とトルコの企業が組んで、BOT方式で施工・管理が行われています。
2009年3月に「第5回世界水フォーラム」でイスタンブールを訪れた当時はボスポラス海峡には2本の橋しかなく、大渋滞が発生していましたが、それ以降、1本の橋と道路トンネルが完成しており、渋滞解消と言う面で大きな効果を発揮発揮しているように感じました。
トルコの積極的な交通インフラの整備には頭が下がります。日本も、負けずにそうした取り組みを進めなければならないと改めて感じました。

続いて、少し傾向は異なりますが、ローマ帝国時代の水道施設の遺構を視察しました。
まず、「ヴァレンス水道橋」です。この水道橋は、イスタンブールに水を送る全長551kmに及ぶウァレンス水道の最末端の施設で、イスタンブールの北西郊外にある水源地帯から旧市街東部の地下貯水池へと貴重な水を送る水路橋としての役割を果たしたものです。
一方、アヤソフィアの近くには「地下宮殿」と呼ばれる地下貯水池が残っていますが、東ローマ帝国の皇帝ユスティニアヌスによって建設されたもので、長さ138m、幅65mの長方形の地下貯水槽となっており、高さ9m、1列12本で28列、合計336本の大理石円柱で構成されています。これによってヴァレンス水道橋によって運ばれてきた78,000m3の水を貯水することができたとのことで、イスタンブールの貴重な水源として活用されていたとのことです。
なお、この地下宮殿は、イスタンブール歴史地域として世界遺産にも登録されています。

ところで、現在のイスタンブール空港は、かつてのアタテュルク国際空港だけでは処理能力が不足していたため、新たな国際空港として黒海側に建設され、2018年10月に開港し、2019年4月にすべての空港機能を受け継いだものです。 現在は4本の滑走路を有し、すべて黒海に向けて南北に設けられていますが、最終的には横風用滑走路を含めて6本の滑走路が設けられる予定であり、全施設が完成すると年間1億5000万人が利用でき、最終的には2億人まで拡大して、世界最大の国際空港となる予定とのことです。とにかく、その広大さに驚きました。こうした面でもトルコの積極的なインフラ整備には目を見張るばかりです。

一方、近年、世界有数の大都市として紹介されることの多いUAEアラブ首長国連邦のドバイに、イスタンブールから移動して、訪れました。
もともと砂漠地帯で、昼間の気温は45度を超えるなど、我が国では考えられない過酷な環境です。人口の約8割が外国人とのことですが、超高層ビルが林立しており、大変活気に溢れていました。なお、水は石油を焚いて海水淡水化を行い確保しているようでした。
街で目を引くのは、「ブルジュ・ハリファ」という高さ828m、160階建ての世界一の超高層ビルで、125階の展望台「アット・ザ・トップ」までエレベーターで登りましたが、周りの超高層ビルも全て眼下にあり、驚くべき未来都市の光景でした。
また、サッカー選手のベッカムをはじめ世界の大富豪がたくさん住んでいることで有名な、人工島のパームジュメイラにも伺いましたが、すべての住宅が水辺に面するようヤシの葉の形に住宅地が造成されており、多数の超高級住宅には40,000人が住んでいると言われていました。
この街の交通インフラのレベルは我が国とは桁違いで、街の中央を走る高速道路は片側6車線、左折レーンがさらに2車線ありましたが、それでも頻繁に渋滞しているとのことでした。
鉄道も、大成建設など日本の企業も整備に関わった高速鉄道やトラムと呼ばれる地下鉄、モノレールなどで構成されていますが、現時点ではそれらの接続が悪くて、機能的には必ずしも充分とは考えられず、車中心の社会のようでした。
なお、パームジュメイラの他にもその規模を上回る新たな人工島が計画されていたり、陸上側でも活発に住宅整備や都市整備が進んでおり、驚くべきエネルギーで都市開発が進行しています。
わずか50年間でこの街が出来上がってきたことを考えると、大変恐ろしいことでありますが、どのようにすれば持続的に発展していくことが可能なのか、心配になる面もありました。

なお、現在のドバイ空港はターミナルが3箇所あるにもかかわらず、すでに手狭になってきており、移転を計画しているとのことでした。この国の、先を見たインフラ整備にも頭が下がる思いでした。

以下、最近の動きを報告します。

【国会の動き】

7月16日(火)、太平洋島嶼国の首脳を迎え開催された「第10回太平洋・島サミット(PALM10)」に併せ、各国首脳と額賀福志郎衆議院議長、日本・太平洋島嶼国友好議員連盟会長の古屋圭司衆議院議員をはじめ超党派の議員連盟のメンバーで、国会議事堂中央玄関階段前で記念写真の撮影が行われ、参加させていただきました。なお、私は以前パラオに伺わせていただいた関係で、「日本・パラオ友好議員連盟」の副会長を仰せつかっています。
続いて、都内のホテルで議員連盟主催の「太平洋・島サミット歓迎昼食会」が開催され、衆参国会議員の先生方とともに出席しました。なお、各国首脳の歓迎行事として秋田県や高知県など16道県からも知事をはじめ幹部の皆さんが参加され、盛大な会合となりました。

【自民党の動き】

7月3日(水)~4日(木)、自民党治水議員連盟の山本有二会長をはじめとするメンバーで、震災発生から半年たった能登半島の被災地の調査に伺いました。会長の山本有二衆議院議員はじめ以下のメンバーにご参加いただきました。

【役員】山本有二会長、遠藤利明会長代行、谷公一副会長、渡辺博道幹事長、藤丸敏事務局長、足立敏之幹事
【会員】奥野信亮衆議院議員、小森卓郎衆議院議員、佐々木紀衆議院議員、津島淳衆議院議員、西田昭二衆議院議員、山本順三参議院議員、和田政宗参議院議員、若林洋平参議院議員

なお、国土交通省からは、藤巻水管理・国土保全局長、服部都市局審議官、笠井治水課長など、北陸地方整備局からは高松局長、木村河川部長、杉本能登復興事務所長などにご同行いただきました。

7月3日(水)、のと里山空港から輪島市に向かい、土砂災害に見舞われた河原田川や市ノ瀬地区を車窓から視察し、その後、地震により発生した火災で200棟以上が焼けた朝市通り、地盤が隆起した輪島港を視察しました。皆さん、被害の深刻さに愕然とされていました。
続いて、坂口輪島市長との意見交換会に出席し、被災した建物の公費解体について、全壊などで建物の機能が明らかに失われた場合、所有者全員の同意がなくても、市町の判断で解体できることとなったことに、坂口市長から「これで撤去が早く進む」と期待の声をいただくとともに、半壊も含めて全て同じ条件に出来るようにならないかとのご意見もいただきました。また、復旧復興の遅れによる人口流出が心配されるとのことでした。

次に、土砂崩れで寸断された国道249号の応急復旧のため輪島市の国名勝「白米千枚田」近くにある隆起した海岸に造った仮設道路(迂回路)を通り、珠洲市役所に伺いました。この迂回路は、これまでの考え方を覆す画期的なアイデアだと高く評価したいと思います。
議会の休憩時間に泉谷珠洲市長と面談し、復旧復興状況についてお話を伺うことが出来ました。公費解体も解体業者数も確保され進んでいるとのことでした。その後、地震による津波被害や堤防護岸損壊が発生した正院地区、宝立地区を視察しました。

翌日の7月4日(木)、金沢港の岸壁や埠頭用地の被災状況や係船柱の損壊状況を視察しました。
続いて、内灘町・かほく市の液状化による被災地をかほく市の竹本副市長にご同行いただき、視察させていただきました。
砂丘から干拓用の土砂を採取したところに建った住宅が、地下水位と近くなったため液状化が発生し、流動化して家屋被害が発生していました。今後の対策としては地下水低下工法または、地盤改良工法で対策を行うこととなるそうです。
なお、液状化の被災地を視察していたところ被災者の方から「足立さん」とお声をかけていただきました。大変驚きましたが、石川県庁土木部OBの方で、ご自宅が被災して解体することになったとのことでした。

7月14日(日)、「火山噴火予知・対策推進議員連盟(火山議連)」の視察会で、会長の古屋圭司衆議院議員をはじめ衆参国会議員の先生方とともに、噴火の懸念のある富士山の現地視察を行いました。 この視察により、過去の富士山の噴火の履歴や溶岩流の痕跡、市街地に近い噴火口の存在などを確認でき、大いに参考になりました。 また、国土交通省が火山砂防事業として実施している「浅間沢遊砂地」なども視察し、火山砂防の対応状況を視察させていただきました。 なお、山梨県富士山科学研究所の藤井所長や中部地方整備局の佐藤局長、吉岡河川部長、光永富士砂防事務所長、内閣府防災担当の森久保参事官等にご同行いただき、ご案内をいただきました。ありがとうございました。

【都内の動き】

都内の動きは特にありませんでした。

【地方の動き】

7月2日(火)、長崎市に伺い、「長崎県建設産業団体連合会」の理事会・総会に出席し、根〆会長のご配慮でご挨拶をさせていただくとともに、来年の選挙に向けて準備をはじめている見坂さんのご支援をお願いしました。
引き続き開催された懇親会にも、古賀友一郎参議院議員、金子容三参議院議員らとともに出席し、ご挨拶をさせていただきました。