足立としゆき夢だより【第147号】をお届けします

皆さん、こんにちは。
足立としゆきです。

4月7日(火)、新型コロナウイルスに関する「緊急事態宣言」を安倍晋三内閣総理大臣が発出されました。
新型コロナウイルスの感染拡大が依然続いており、国民が一丸となってその難局を乗り越えなければならない重大な局面を迎えていると考えられます。このため、私が住む東京でも、これまで以上に様々な活動の自粛が求められることになる見込みです。皆さんの地域ではいかがでしょうか?

さて、今回の「緊急事態宣言」は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて3月に改正された「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づき、新型コロナウイルス感染症対策本部長である安倍総理が行ったもので、対象となる期間は4月7日(火)から5月6日(水)までの29日間、対象区域は埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県及び福岡県です。

「緊急事態宣言」の発出に先立ち、参議院では議員運営委員会に安倍総理と西村康稔担当大臣が事前の説明に来られました。私もその様子を傍聴に行きましたが、総理が議院運営委員会にお越しになるのは45年ぶりの出来事でもあり、緊張感あふれる雰囲気の中で質疑が行われていました。

一方、今回の「緊急事態宣言」の発出に伴って、参議院自民党では4月7日付けで関口昌一議員会長と世耕弘成幹事長の連名で、不要不急の外出の自粛、会合・打合せによる3密(密閉・密集・密接)の回避、緊急事態宣言対象地域から他の地域への移動の自粛、夜間の外出の自粛が通知され、国会議員として国民の模範となるよう自覚と矜持をもって行動するよう要請されています。
また、国会では3密を回避するため、本会議や委員会において議員の席の間隔を広げるなど席の配置を変更する取り組みが行われています。また、参議院自民党においても幹事長室の常駐者を3分の1に削減するなど体制の縮小を図るとともに、勉強会や派閥の会合をTV会議で実施するなど、様々な工夫も凝らされています。官庁でも、出勤者の削減や時差出勤などが行われているとも聞きます。
皆さんの職場ではどのような取り組みを進めておられるでしょうか?

ところで、今回の「緊急事態宣言」によって、建設分野などではどのような影響が生じるのでしょうか?
詳細については国土交通省にご確認いただきたいと思いますが、基本的なところについて順次見ていきたいと思います。

【基本的対処方針】

「緊急事態宣言」の発出にあわせて、政府は特措法に基づく「基本的対処方針」を定めました。その方針によると、「国民生活・国民経済の安定確保に不可欠な業務を行う事業者については、十分に感染拡大防止策を講じつつ、事業の特性を踏まえ、業務の継続を要請する。」とされています。

その対象となる業務が、どのような業務になるのかが問題です。
方針の別添には、「緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業者」が定められており、我々と関係の深い分野では次のような業務が対象とされています。当然のことだと思います。
①安全安心に必要な社会基盤(河川や道路などの公物管理、公共工事、廃棄物処理、個別法に基づく危険物管理等)
②物流・運送サービス(鉄道、バス・タクシー・トラック、海運・港湾管理、航空・空港管理等)
③企業活動・治安の維持に必要なサービス(ビルメンテナンス、セキュリティ関係等)

このうち、公物管理や公共工事については、国土交通省から取り扱いについて通達が発出されており、継続するかどうかについては受・発注者間で協議して決めることとされています。受注者から一時中止等の希望がある場合には、受注者の責めに帰すことができないものとして、発注者が適切に費用負担することとされています。この点については、これまでの学校の臨時休業に伴い現場の施工や業務を継続することが困難と認められる場合の取り扱いと基本的に同じです。

なお、特に中止することが難しい通年の維持工事や災害復旧等の工事・業務については、適切な感染症対策を行うことが条件になると考えられますが、極力継続する前提で協議を行うこととしているとのことです。

【緊急経済対策】

我が国経済は、感染症拡大の影響により大幅に下押しされ 厳しい状況に置かれており、「緊急事態宣言」の発出に合わせて、緊急経済対策を講ずることとされました。

その基本的な考え方としては、二段階の対応を考えており、まず、第一段階として、感染症拡大の収束に目途がつくまでの間の「緊急支援フェーズ」であり、雇用と事業と生活を守り抜く段階としています。第二段階は、収束後の反転攻勢に向けた「V字回復フェーズ」であり、観光・運輸、飲食、イベント等大幅に落ち込んだ消費の喚起と、デジタル化・リモート化など未来を先取りした投資の喚起の両面から反転攻勢策を講ずる段階としています。

このうち、「緊急支援フェーズ」においては、「生活に困っている世帯や個人への支援」として、休業等によって収入が減少して生活に困っている世帯や個人に対して、新たな給付金制度を創設し、1世帯当たり30万円の給付を行うこととしています。また、子育て世帯に対しては児童手当に一人当たり1万円を上乗せすることとしています。さらに、一定程度収入が下がった場合に国民健康保険、国民年金等の保険料の免除等を行うこととしています。

また、「雇用の維持」として、雇用調整助成金について、緊急対応期間(令和2年4月1日から6月30日まで)において、助成率を、中小企業は 5分の4、大企業は3分の2に引き上げ、さらに解雇等を行わない場合には、中小企業は10分の9、大企業は4分の3とするとともに、雇用保険被保険者でない非正規雇用労働者も対象とするなどの拡充を行うこととしています。

また、「事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援」として、事業収入が前年同月比 50%以上減少した事業者について、中堅・中小企業は上限 200 万円、個人事業主は上限 100 万円の範囲内で、前年度の事業収入からの減少額を給付することとしています。

以上の3つの措置については、公共事業の元請けの場合には設計変更等で対応されるため該当するケースは少ないと考えられますが、下請けについては適用の可能性があると考えられます。また、民間の、特に住宅建設工事などの分野では該当するケースがあると考えられます。
いずれの場合も、関係する協会にお問い合わせいただければと思います。

【令和2年度補正予算】

「緊急経済対策」に盛り込まれた施策を確実に実施するためには、令和2年度補正予算(案)を成立させる必要があります。
このうち、国土交通省分の補正予算としては、第二段階の「V字回復フェーズ」において、「官民挙げた経済活動の回復」として国内外の観光需要喚起が盛り込まれ、「強靭な経済構造の構築」として、「インフラ・物流分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を通じた抜本的な生産性の向上」が盛り込まれています。
なお、後者についてはBIM/CIMを活用し、公共事業について設計・施工から維持管理に至る一連のプロセスやストック活用をデジタルで処理可能とするとともに、熟練技能のデジタル化等を進めることとし、非公共事業として国費で178億円を投入するとのことであります。

4月1日の決算委員会の質疑で私が訴えた「公共事業の大型補正」については、残念ながら力不足で、今回の補正予算には盛り込まれておりません。皆様にはお詫びを申しあげます。

緊急経済対策では、公共投資については「生産性向上や復旧・復興、防災・減災、インフラ老朽化対策などの国土強靱化等に資する公共投資を機動的に推進する。令和元年度補正予算や臨時特別の措置も含めた令和2年度当初予算等については、 上半期の契約率目標を定めて早期執行を図ることにより、景気の下支えに万全を期す。」との記載となっていることが影響していると思われます。

今後は、建設分野全体で前倒し執行に全力を傾け、景気回復の遅れなどから経済対策として公共投資の出番が来た際には直ちに期待に応えられるよう、事前の用地取得や設計ストックの確保などの準備を怠らないようお願いをしたいと思います。特に防災・減災・国土強靭化、交通インフラの強化、老朽化対策などの分野での準備が必要と考えますので、よろしくお願いをいたします。

〇参考:緊急経済対策の抜粋

1.生活に困っている世帯や個人への支援

1)休業等により収入が減少し、生活に困っている世帯に対して、生活維持のために必要な資金を迅速に交付する新しい給付金制度を創設する。具体的には、世帯主の月間収入(本年2月~6月の任意の月)が、
①新型コロナウイルス感染症発生前に比べて減少し、かつ年間ベースに引き直すと個人住民税均等割非課税水準となる低所得世帯や、
②新型コロナウイルス感染症発生前に比べて大幅に減少(半減以上)し、かつ年間ベースに引き直すと個人住民税均等割非課税水準の2倍以下となる世帯等を対象として、1世帯当たり 30 万円の給付を行う。給付に当たり、収入状況を証する書類等を付して市町村に申請を行うこととなるが、市町村の事務負担を考慮するとともに、文化芸術をはじめとする業態の特殊性も含め、申請者の事務負担を考慮して、可能な限り簡便な手続とする。
あわせて、オンライン申請受付等のシステム整備を行う。その際、マイナンバーカードの活用等、迅速な給付システムについて検討を行う。
2)子育て世帯に関し、児童手当(本則給付)を受給する世帯に対し、その対象児童一人あたり1万円を上乗せする臨時特別の給付金を支給する。
3)これらの給付金について、所得税及び個人住民税を非課税とする措置等を講ずる。
4)感染症の影響により一定程度収入が下がった方々等に対して、国民健康保険、国民年金等の保険料の免除等を行う。
5)収入の減少により生活に困窮されている方に対する緊急小口資金等の特例を継続的に実施する観点から必要な予算を確保する。

2.雇用の維持

雇用調整助成金について、緊急対応期間(令和2年4月1日から6月30日まで)において、助成率を、中小企業は 5分の4、大企業は3分の2に引き上げ、さらに解雇等を行わない場合には、中小企業は10分の9、大企業は4分の3とするとともに、雇用保険被保険者でない非正規雇用労働者も対象とするなどの拡充を行う。

3.資金繰り対策

個人事業主や売上が急減した中小・小規模事業者、生活衛生関係営業者に対する、利子補給を組み合わせた実質無利子・無担保の融資について、十分な規模の融資枠を確 保するとともに、手続きの迅速化に努める。また、更なる事業者の金利負担及び返済負担の軽減を図るため、日本政策金融公庫等の既往債務について、実質無利子・無担保融資への借り換えを可能とする。

4.事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援

特に厳しい状況にある幅広い業種・事業形態の中堅・中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主に対して、万全のセーフティネットを構築すべく、事業の継続を支え、事業全般に広く使える「持続化給付金(仮称)」として、事業収入が前年同月比 50%以上減少した事業者について、中堅・中小企業は上限 200 万円、個人事業主は上限 100 万円の範囲内で、前年度の事業収入からの減少額を給付する。その際、苦境にある事業者等に対して、確実に制度の概要が伝わるよう事前の周知に注力するとともに、文化芸術をはじめとする幅広い業態の特殊性も踏まえ、申請者の事務負担を考慮して、電子申請を原則とするなど、可能な限り簡便な手続とし、申請から給付までの期間を極力短くする。