五十里ダム施設改良工事堤体削孔完了式

栃木県日光市に伺い、関東地方整備局が施工中の五十里ダムの放流設備設置工事のための堤体削孔完了式典に、国土交通省大臣政務官の高橋克法参議院議員とともに出席し、祝辞を述べさせていただくとともに、くす玉開披を執り行わせていただきました。
この事業は、既設の五十里ダムの堤体を削孔し、利水放流設備を設けて、下流の水環境の改善を図るとともに、新たに水力発電を行ういわゆる「ダム再生」プロジェクトです。
式典終了後、施工現場にもご案内いただき、削孔の終わった状況を見させていただきました。堤体コンクリートをボーリングで円弧状にくり抜いていき、その中のコンクリートを油圧ジャッキで割って引き出して穴を開けたとのことで、ダイナミックな施工法に感激しました。

なお、五十里ダムの堤体削孔は私が若いころに携わった秋田県の鎧畑ダムの利水放流設備の新設工事によく似ています。
この事業は、玉川ダムの直下流に位置した県管理の鎧畑ダム(直轄で昭和32年度に竣工後、県に移管)に玉川ダムで開発した都市用水等を下流に流す施設がなかったため、利水放流管を玉川ダム建設事業の一環として鎧畑ダムに新設したものです。
鎧畑ダムを貯水したままで、コンクリートの堤体にトンネル用全断面掘進機で径4.4mの穴をあけ、径3.2mの放流管を新設するという工事でしたが、堤体に大きな穴を開けるということが我が国初めての取り組みであったことや、ダムの水位を維持したままで施工しなければならなかったため上流側に締め切り工を施工するなど様々な工夫が必要でした。
平成2年度に無事完成しましたが、私は、調査設計課長としてこの利水放流設備の設計や施工計画の立案を担当し、堤体コンクリートの強度を確認するためボーリング調査まで実施しました。