【欧州河川調査⑤】
【欧州河川調査⑤】
8月19日(月)、チューリッヒから車で約1時間東へ向かい、チューリッヒ湖とヴァーレン湖の間にあるベンケン村を訪問し、ヴァレン湖から流れてチューリッヒ湖にそそぐリント川の近自然川づくりを視察しました。
はじめに、リント川を管理するリンスワークの事務所において、ラルフ・ユードさん、マルクス・ユードさんから、歴史的経緯や全体計画について説明がありました。
もともとリント川は山間部から直接チューリッヒ湖にそそいでいたのですが、かつてこの地はリント川の氾濫原であり洪水が多く貧しい地域であったため、H.K.エッシャーの提案によりリント川をいったん上流のヴァーレン湖に流入させ、土砂を落としたのちにチューリッヒ湖に流すよう、ヴァーレン湖からチューリッヒ湖に直線化した河道ふと付け替え工事が行われました。なお、このためヴァーレン湖の上流部をもともとのリント川ではなくエッシャー川と呼んでいるとのことでした。
この工事で水害は減りましたが、河川が直線化され自然が失われたことと、近年の気候変動などによる超過洪水対策が必要になったことなどから、リント川から超過洪水を流す放流水路を新たに設置したり、河道を拡幅して再自然化を行ったとのことでした。
その後、リント川の現地へ伺い、超過洪水を流すためのゲートや、2か所で河道を大きく拡張して「わんど」のようなハビタットが作られた箇所、河岸を自然石などで再自然化している状況、動物が移動するためにコリドーとして設置された草地などを視察しました。