【欧州河川調査⑥】

【欧州河川調査⑥】
ベンケン村の視察の後、さらに車で3時間ほどかけて、高級リゾート地として有名なサン・モリッツの近くにあるベーバー村に移動し、翌日視察するイン川のレクチャーを受けました。
ここで、欧州においても近自然川づくりの草分けで第一人者であるレジェンド、クリスチャン・ゲルディさんにお会いすることができました。私はこれまでお会いしたことはなかったので、伝説の方のお話しを伺うことができ、本当にうれしく思いました。
ゲルディさんと共に、この地域を流れるイン川の近自然川づくりの仕事をされている、環境専門家のピオ・ピッチさん、トーマス・フォン・ヴィールさんから、翌日視察予定のイン川についての説明を受け、ゲルディさんをまじえて意見交換を行いました。
8月20日(水)、ゲルディさんらの案内で、午前午後併せて5時間ほどかけて、イン川やフラッツ川、旧フラッツ川を踏査しました。
イン川と支川フラッツ川は、もともとべーバー村の上流にあるサメーダン村付近で合流していましたが、近年の洪水の頻繁への対策としてフラッツ川の合流点を下流のべーバー村付近に付け替えることとし、新たなフラッツ川を開削して、もとのフラッツ川は小川として残すこととなりました。併せて、イン川やフラッツ川、旧フラッツ川の再自然化が図られたとのことです。
いずれの河川も河岸を自然石の石積としており、河畔林が繁茂するなど優れた再自然化が図られていましたし、堤防はゆるやかな緩傾斜となっていて周囲の農地と一体化した景観となっていました。イン川では堤防を撤去して外側に新たな堤防を築造し、その間が湿地化されるなどダイナミックな再自然化が行われていました。
我が国でも河川改修や災害復旧工事と併せて多自然川づくりが行われていますが、その数段上をゆく近自然川づくり(「再自然化」という言い方をされていましたが)が行われている状況が確認できました。