足立としゆき夢だより【第267号】をお届けします
皆さん、こんにちは。
足立としゆきです。
8月も下旬となり、令和6年度予算の概算要求に向けた動きが本格化してまいりました。今年、これまでに繰り返し発生している洪水や土砂災害等へ対応に加え、4年目を迎える防災・減災、国土強靱化5か年加速化対策の継続的な実施に向けて、皆様と力を合わせて必要な公共事業予算の確保に取り組んでまいりますので、引き続き暖かいご支援をよろしくお願いいたします。
さて、私は8月17日(木)の災害対策特別委員会での質疑の翌日から、インドネシアに行ってまいりました。5年前のスラウェシ島の地震・津波・地盤の液状化による未曾有の被害からの復旧・復興状況を調査するのが目的です。また、あわせて、日本の人口の2倍以上と東南アジア最大の人口を誇るインドネシアにおけるインフラ整備の現状や、水力発電分野での日本企業の貢献等、最新の動きを知る大変貴重な機会を得ることが出来ましたので、報告をさせていただきます。
【インドネシア視察】
1.スラウェシ島
2018年 9 月 28 日、インドネシアのスラウェシ島のパル市を中心に、地震・津波・地盤の液状化などにより 死者・行方不明者が4,340名に及ぶ大災害がありました。私も、翌年の1月5日、6日に被災地を訪れ、被災状況の調査を行いましたが、改めて今回、現地の復旧・復興状況を調査するため、4年半ぶりにインドネシアを訪問することとしました。当時、JICAの専門家として復旧・復興にご尽力された早川さんやインドネシア大使館の高瀬書記官にご同行いただきました。
8月19日(土)、液状化により地盤が流動化し、市街地が飲み込まれるという世界的にも珍しい「Nalodo(ナドロ)現象」が発生したパル川右岸に伺いました。以前とは異なり植生が繁茂して土砂の流動の跡は見えにくくなっていましたが、痕跡は確認できました。なお、被災者は移転されており、家屋の再建は行われていませんでした。
次に、集団移転地のDuyu地区に伺いました。液状化して被災した地区のために近くの高台に復興住宅が整然と建設されており、新たな生活が始まっていました。なお、移転地に商店街や食堂などの商業施設が整備されていなかったため、移転地周辺にそうした施設の立地が進んでいました。
続いて、液状化により地盤が流動化したパル川左岸のBalaroa地区に伺いました。この地域では、がれきはかなり撤去されていましたが、植生はそれほど繁茂してはおらず、土砂の流動の痕跡は確認できました。
なお、ここでも被災者は移転されており、家屋の再建は行われていませんでした。地盤の液状化によってたくさんの犠牲者が飲み込まれた現場でもあり、将来的には公園を整備する計画もあるとのことでしたが、具体化は進んでいませんでした。
続いて、地震により落橋したパル第4号橋の再建現場に伺いました。この橋は、パル川の河口にあって、パル市の象徴とも言うべきアーチの黄色い橋でしたが、橋桁がすべて崩落してしまいました。
この橋は、日本の無償協力事業として復旧することとなり、東急建設が施工を担当しています。現地は国際事業部土木部長代理の山川さんに御案内をいただきましたが、河床にがれきがあり、重機があまりないスラウェシ島での施工でもあり、厳しい状況下での施工となっているようですが、日本の技術力を最大限発揮していただき、なんとか頑張っていただきたいと期待しています。
その後、地震によりパル湾に一部水没したモスクを訪れました。以前来た時より、かなり痛んで来ており、心配になりました。また、周辺には新たに海岸堤防が整備され、様相が一変しており驚きました。
夜には大使館の高瀬書記官、現地で頑張るJICAの安井所長や専門家の皆さん、八千代エンジニアリングの福島さんをはじめとする皆さん、オリエンタルコンサルタントの皆さんと意見交換をさせていただきました。皆さんのパル復興にかける強い思いに感激いたしました。
なお、この地域の復興マスタープランは、当時JICAの専門家として派遣されており、私が河川計画課長の時に一緒に仕事をした多田さん、早川さんの2人が中心となって取りまとめました。居住禁止区域や建築構造強化区域、集団移転地などを区分けした空間計画案まで提案されましたが、このマスタープランに基づき復旧・復興が着実に進んでおり、安心しました。東日本大震災の経験を踏まえ、とりまとめを行ったお二人のご尽力に心から敬意を表したいと思います。
2.水力発電施設
8月20日(日)、スラウェシ島からジャカルタに戻り、陸路を2時間半かけて、バンドン市近くのラジャマンダラ水力発電所を視察しました。日本では見たことがないほど巨大な水力発電所です。
この水力発電所は、ジャワ島のチタルム川に建設した出力4.7万kWの流れ込み式水力発電所で、上流には大規模なダム式発電所が稼動しており、その放流水を活用して発電を行います。発電した電力はインドネシア国有電力会社(PLN社)に売電し、30年間の売電期間終了後、発電施設をPLN社へ無償譲渡するBOT事業とのことです。水力発電分野での日本の貢献の大きさを再認識いたしました。
なお、この近くでアッパーチソンカン揚水式発電所の建設プロジェクトが進んでいます。上部ダム高さが75.5m、下部ダムが高さが98mで、いずれも重力式コンクリートダムであり、ラオスのナムニアップダムと同様でRCC工法で施工する予定と聞きました。私が、かつて建設に携わった秋田の玉川ダム、神奈川の宮ヶ瀬ダムも同様の施工方法のRCD工法を採用していましたので、工事が始まったらぜひ視察させていただきたいと思います。
なお、京都大学土木の後輩で、関西電力の出身、現在ニュージェックで勤務している筒井さんがアッパーチソンカン揚水式発電プロジェクトを担当しておられ、その関係で現地をご案内いただきました。筒井さんには、以前、ラオスのナムニアップダムの建設現場を2度ご案内いただいたことがあり、たびたび、ありがとうございます。
ラジャマンダラ発電所から、再び2時間半かけてジャカルタに戻り、大使公邸で金杉大使、臼井公司から現地情勢について、ブリーフィングをいただきました。お忙しい中、対応していただき、ありがとうございました。
3.ジャカルタ市内の各種インフラ
8月21日(月)、ジャカルタ市内のインフラ整備の状況について視察を行いました。
視察箇所は、ジャカルタの治水対策として重要なプルイット排水機場の改修、ジャカルタ下水処理場の整備、ジャカルタ漁港、巨大都市ジャカルタの新たな基幹交通であるMRTの延伸事業、都市中心部のメガクニンガン地区における大規模開発事業の現場です。
まず、プルイット排水機場を訪れましたが、ジャカルタ北部低地の雨水を排水する重要な施設です。私自身、国土交通省の技監の際に一度伺ったことがある施設ですが、その後、老朽化等のため低下した排水機能を回復、増強させたもので、先日、天皇陛下が訪問され話題になりました。その際に現地で説明役を担った前JICA専門家で国交省水管理・国土保全局の菊田さんにご説明をいただきました。なお、事業を担当した八千代エンジニアリング、安藤ハザマの皆さんにもご同行いただきました。
次に、建設中のジャカルタ下水処理場に伺いました。
ジャカルタにおいては、2012年のマスタープランに基づいて下水道の整備が進められていますが、そのうちのひとつのプルイット排水機場の近くの下水処理場では、日本が得意としている膜処理まで計画しています。また、狭いスペースで高度処理を行う施設を建設するため、ニューマティックケーソンを用いるなど、日本の優れた技術を発揮できる現場だと強く感じました。
なお、現場ではJICAの郡川専門家、大林組、JFEエンジニアリング、熊谷組、オリエンタルコンサルタンツグローバルの皆さんにご案内をいただきました。
次に、ジャカルタ漁港を訪問し、管制塔の役割を担っているタワーの最上階で、漁港の全体を眺めながら、大使館からご同行いただいた若林書記官、PT Bonnet Sejuk Sejahtera の吉村さん、インドネシア海洋水産省ジャカルタ漁港のマンスル漁港長からご説明をいただきました。日本では見たことがないほどの漁船の数の多さと船の巨大さに圧倒されました。
次に、都市鉄道であるMRTの延伸事業のGlodok駅の建設現場を訪問し、地下に構築された巨大な空間にも入らせていただきました。三井住友建設、オリエンタルコンサルタンツグローバルの皆さんからご説明をいただきました。
その後、Glodok駅から開通済みのMRT駅に移動し、大使館の杉田書記官にご同行いただいて、供用済みのMRTに試乗させていただきました。車両は新しく、素晴らしかったです。
次に、ジャカルタ中心部のメガクニンガン地区における大規模開発の現場に伺いました。このプロジェクトは、東急不動産インドネシア(TLID)と株式会社海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)の共同事業として実施されているもので、清水建設が設計・施工を担当しています。
ここでは、建設中の高層マンションのビルの屋上に上って、ジャカルタの市街地を見下ろしながら、東急不動産の小峰さんや堀川さん、清水建設の小田さんなどからご説明をいただきましたが、ダイナミックな高層ビルに驚きました。
ジャカルタ市内の視察の後、前回、スラウェシ島のパルに伺った時に、JICAの多田専門家のもとで勤務していた女性ハスティン・ディアンさんが、ホテルまでご挨拶に来られました。ありがたいことです。
続いて、大使館の臼井公使、高瀬書記官、JICAの岡村次長や専門家の皆さんを交え、日本の建設事業者の活躍を引っ張っていらっしゃるジャカルタ・ジャパン・クラブ建設部会の皆さんと意見交換をさせていただきました。
皆さんからは、インドネシアは経済発展が著しく、近いうちに日本を抜いてGDPが4位になるとのお話を伺いました。ショックでした。
今回のインドネシア視察では、インドネシア大使館の高瀬書記官、JICAの安井所長をはじめ、国土交通省の多田さん、早川さん、菊田さん、山本さんなど、たくさんの皆さんにご支援をいただきました。改めて感謝とお礼を申し上げます。ありがとうございました。
【国会の動き】
閉会中のため、特に動きはありませんでした。
【自民党の動き】
8月23日(水)、自民党の治水議員連盟の総会が開催されました。冒頭、会長の山本有二衆議院議員からご挨拶をいただいた後、国土交通省の古川康大臣政務官、西田昭二大臣政務官、清水真人大臣政務官からご挨拶をいただき、令和6年度予算概算要求に向けた意見交換が行われました。
出席された30名を超える議員のうち10名の先生方から、激甚化する豪雨災害に備えるための事前防災対策を拡充するための治水予算の確保、流域治水の加速、ダムの再開発や整備、内水対策の充実と必要な設備の更新等の要望が述べられました。
続いて、廣瀬水管理・国土保全局長から、ご意見を踏まえての令和6年度予算概算要求に向けた取り組みの説明をいただき、私から、議員連盟としての決議文を読み上げさせていただき、満場一致での採択をいただきました。
その後、自民党の住宅土地・都市政策調査会に出席したほか、翌8月24日(木)、国土交通部会、整備新幹線等鉄道調査会、物流調査会、航空政策特別委員会、東日本大震災復興加速化本部総会に出席し、令和6年度概算要求や税制改正についての意見交換に参加いたしました。
【都内の動き】
8月23日(水)、近畿国道協議会の総決起大会に参加し、亀田橿原市長のご挨拶の後、たくさんの衆参国会議員の先生方とともにご挨拶をさせていただきました。丹羽道路局長からの近畿の国道整備の状況についての説明の後、米澤敦賀市長、並河天理市からの意見発表、森中守山市長の決議文の朗読を伺い、田岡新宮市長のご発声によるガンバロー三唱まで参加させていただきました。
次に、兵庫南東部、兵庫播磨地域及び兵庫但馬地域各国道連絡会の合同意見交換会、和歌山県国道連絡会による意見交換会に出席させていただき、ご挨拶をさせていただきました。
続いて、中国国道協会より、枝広福山市長、井原柳井市長、伊木米子市長等の皆様に議員会館の事務所にご来室いただき、ご要望書を手交いただきました。
続いて、国土交通省のOBの皆さんで構成する中堅建設業経営問題研究会の皆様と、中堅建設業の現状と課題について、意見交換をさせていただきました。
8月24日(木)、和歌山県令和6年度政府予算編成及び施策の策定関する意見交換会に、二階俊博衆議院議員、石田真敏衆議院議員、鶴保庸介参議院議員とともに参加させていただき、和歌山県の町村長の皆様と意見交換をさせていただきました。
【地方の動き】
特に動きはありませんでした。